アカミタンポポ

赤実蒲公英 キク科タンポポ属 多年草 花期:4月〜6月
2007/05/30 山口県岩国市で撮影
2007/05/29 広島県安佐南区で撮影
2007/05/29 広島県安佐南区で撮影
2007/05/29 広島県安佐南区で撮影
温暖・少雨を特徴とする瀬戸内気候の中でも典型的な地域の都会に多い帰化タンポポである。ヨーロッパ原産であるが、主に地中海沿岸などの乾燥気候の地域に適応した種であり、瀬戸内海気候との共通性がある。
植物体は夏でも休眠せず、一年中観察することができ、盛夏には少なくなるものの一年中開花・結実している。アカミタンポポは染色体を3セット持っており(3n)、単為生殖を行う。他の個体と花粉を交換する必要がないので、一斉に開花する必要はなく、条件さえ揃えばだらだらと一年中花を開く。総苞外片は反り返って、帰化種の特徴を示している。
同じ帰化種であるセイヨウタンポポと区別が困難であるが、種子が稔っていると、赤紫色を帯びているので容易に区別できる。和名は種子が赤いことを指しており、赤実タンポポである。
セイヨウタンポポに比べて花の数が少ないので、穂の大きさも小さく、赤い種子が透けて見える。種子は散布された直後から発芽し、休眠しない。この点は在来種のタンポポが秋から芽生える点と異なっている。
アカミタンポポは荒れ地に生育しており、小さな個体でも、立派に開花し、結実する。砕石を敷いた駐車場の縁や道路の割れ目など、おそらく荒れ地で栄養分や水分を吸収することに高い能力を持っているのであろう。しかしながら、その分豊かな土壌の場所における高さ競争は苦手のようである。

タンポポ属検索表
総苞外片は圧着または開出斜上し反曲しない 総苞と葉は緑色。花冠は黄色 総苞は小型で,花時には13ー14mm. 総苞外片の長さは内片の1/2に達しない 総苞外片は長楕円状披針形または卵状披針形で,先端に小型の小角状突起があるか,またはない.頭花は径2ー3p. カンサイタンポポ
総苞は大型で,花時には15ー20mm. 総苞外片は広卵形で鈍頭,先端に小型の小角状突起があるかまたはなく,圧着する.葉は櫛の歯状に羽状深裂する. クシバタンポポ
総苞外片の長さは内片の1/2に達する 総苞外片は卵形または卵状長楕円形で先端は尾状,先端の小角状突起は小型のものから大型のものまであり,辺縁は透明膜質で上部が帯紅色,綿毛が多く,圧着する. ヤマザトタンポポ
総苞と葉は淡緑色。花冠は白色か淡黄色。総苞外片は卵状長楕円形。 総苞外片の先端に顕著な小角状突起があり,やや開出する.痩果は淡褐色. シロバナタンポポ
総苞外片の先端の小角状突起は小さく、辺縁は透明膜質で上部が帯紅色,あまり開出しない。痩果は黒褐色. キビシロタンポポ
総苞外片は基部から反曲する 痩果は褐色.総苞外片の先端に小角状突起がない.葉は大小不規則に羽状浅裂から深裂. セイヨウタンポポ
痩果は赤褐色.総苞外片の先端に小角状突起がある.葉は細かく羽状深裂する. アカミタンポポ